• たかが石・・・されど石・・・

こんにちは。
木村石材の木村 希です。
今日は追加の花立を作製しました。

今から10年前になるでしょうか?
東日本大震災の年に、ご住職から無縁塔の改修のご依頼を頂きました。
その頃は、震災から2ヶ月あまり過ぎた頃でしたが
当時仲良くさせて頂いていた(株)はなつか さんも飯舘村でしたので
原発事故の影響から丁場並びに工場が立ち入り禁止になり
国見にある八巻石材工業(株)さんのご厚意で工場を借りる形で仕事をされていました。
その時に「仕事があれば少しでも気が紛れるんだけど・・・」という話を聞いていましたので
非常に大量の石を使う工事でしたので、何か少しでも助けになればと思い
外材と一緒に「はなつかみかげ」もお見積を出しました。
すると、ご住職から
「福島の石を使えば現地の石屋さんも助かるんでしょ?
現地の人へのこうゆう形の援助もありじゃないかな?」と
非常に有り難いお言葉を頂き、
福島県の「はなつかみかげ」で改修を行いました。
工期は既存無縁塔の撤去から完成まで3ヶ月近くかかり
(株)はなつか さんの増トン車で5台分の石の量になりました。


観音様の脇に4つの花立を付けたのですが
近年、お彼岸やお盆時に檀家さんから
「花をあげたいたんだけど、入れる場所がないんだよね」という声が
お寺さんに入り、その時だけでも臨時に花立を増やしたいとのご依頼頂きました。

実際、(株)はなつか さんは震災の影響もあり数年前に会社を閉鎖し
はなつかみかげの丁場も埋め戻されていますので
原石は近隣の加工場や石屋さんにあるだけとなっています。
かと言って追加花立だけ別石種というのは納得いきません。

そこで、作業場で探していたら奥の方から
ちょうど、今から5年くらい前に僕の発注ミスで残っていた
はなつかみかげの外柵の材料がありましたので
それで作る事にしました。(良かった〜!)
上の写真の花立前に置くので同じようなデザインで
少し小さめに作る事にします。

まずは寸法に切削して、大きい面は研磨機で研磨します。
次に切り欠きの段を作り、小さい面を研磨していきます。

この昇降する加工台とエアポリッシャーは
(株)はなつか さんが辞める時に僕に譲ってくれた物です。
工場長や社長が使っていた加工工具で作る事に
何か懐かしいのと寂しい感じがしましたが
(株)はなつか さんの「ものづくり」へのこだわりは
非常に素晴らしいものでしたから
その気持ちを受け継ぐとまでは偉そうに言えませんが
頑張って作りました。
縦の角面は2分R加工をして丸面に磨きます。

研磨が終わり花筒を入れる穴を開けます。
実はこの穴掘り機も(株)はなつか の社長が
製品と一緒に山形の道具屋さんから運んでくれたものです。

このあと背面に水抜き穴を開けて完成しました。

はなつかみかげ を(株)はなつか さんから
譲ってもらった道具で作るという
何とも言えない気持ちになりました。

来週、現場に搬入します。

コロナが落ち着いたら福島に逢いに行きたいなぁ。・・・