• たかが石・・・されど石・・・

こんにちは。
木村石材の木村 希です。
今回はお墓と言っても現代のものとは
ちょっと違ったものです。

場所は埼玉県の吉見町です。
埼玉県民ならこの地名でピンとくる人も
いるのではないでしょうか?

そう!吉見百穴です。
小学校の時に教科書で習っていましたが
実際に見たのは今回が初めてでした。
山の斜面に無数の穴が空いています。
埼玉県では花崗岩はまず採れないので
なんだろう?と表面を触ってみました。

う〜ん このボソボソと砕けるようにして
剥がれる感じ・・何処かで・・・
そう!古くなって風化の始まった大谷石にそっくりでした。
敷地内の説明の看板を読んでみたらやはり
凝灰岩系砂岩との事です。

上に方の穴にはどうやら遺体を寝かせていたような
ベッドのような加工がされたものもありました。
穴正面から見た状態です。
両脇にベッドのようなものが。

右側です。

左側にも。

対になっているということは
ご夫婦だったのでしょうか?
どうやらここに遺体を置き
その穴を一枚物の緑泥石片岩で塞いで
周囲をこの掘った凝灰岩を練って粘土のようにして
穴を塞いでいたそうです。
そう!緑泥石片岩といえば
あの石塔婆に使われていた青石ですね。
やはり埼玉県の遺跡となると
キーワードとして必ずと言っていいほど
この「緑泥石片岩」が出てきますね。
う〜む・・また学芸員の岩田さんに聞くようかな?こりゃ?
時代的には古墳時代後期と言われていますので
やはりこの百穴もある程度地位の高い人々の
お墓だったのでしょうか?
いくら比較的に柔らかいこの石でも
道具のない時代に人力でこれだけの穴を掘る
労力はそれなりの権力者でなければ
出来なかったのではないかと思います。

どちらにせよ人々は古の時代より
亡くなった人を丁重に葬る事を
非常に大事にしていたのだなと感じました。

一度機会があれば 是非ご覧になってみてください。
凝灰岩系砂岩ですから今後、雨風の侵食で
もしかしたら見れなくなってしまう可能性も
なきにしもあらずだと思います。