• たかが石・・・されど石・・・

こんにちは。
木村石材の木村 希です。
お盆が明けたと思ったらなんか肌寒いくらいの
雨続きの日が続いています。
朝は霧雨が少し降っていましたが、
ちょっと思い立って行ってみました。

実は先月辺りから、ちょっと色々と調べ物をしていまして
その関係でNHKプラスという配信まで登録してしまいました。
(いわゆる見逃し配信です。民放のTeverみたいなもの)
そんな中、ある物の日本一が埼玉県にあるということを
お世話になっている親方から伺いまして実際に見に行ってきました。

場所は埼玉県の北部、ライン下りで有名な長瀞です。
何の日本一があるかと言うと「板碑」と呼ばれる石塔婆です。
その名は「野上下郷石塔婆」です。
寄居から秩父へ向かう国道140号沿いにありました。
国の史跡にも指定されているようです。

元々、長瀞をはじめとする秩父地方は
中央構造線という断層の上にあるため、
「変成岩」と呼ばれる圧力がかかって出来る石が非常に多い所です。
こちらは、以前青年部の家族会でライン下りに乗った時に見た
長瀞の「石畳」です。

そして、この「秩父青石」と呼ばれる緑泥片岩を使った板碑が
関東一円で使われたようです。

50cm程度の小さい物は、何回か墓地などで見たこともありました。
所沢で現存するものでは、西武ドームの手前にある来迎寺さんにある
板碑が一番古いそうで、先日見に行ったのですが約1.5m程度でした。


まぁこれでも結構大きい方なのですが
今日、見てきたものはそれを遥かに超えていました。

元々、この青石の片岩は薄く剥がれやすいということもあり、風化にはあまり強くないようで
当時の姿のまま残っている方がかなり珍しいと思います。


さりげなくこの上にあります。

玉石などではなく、土留も青石でした。

台石も青石で組まれていました。
写真だとスケール感が解りにくいと思い、セルフタイマーで一緒に撮ってみました。

いかがでしょうか?
高さが5.32mで幅が1.2mありますが、緑泥片岩ですので
厚みは12cmということです。
ただ、これも恐らく一番厚い部分だと思いますので、先端の方はもっと薄いと思います。
これが真横からの写真です。

この薄さでこの高さで、現存しているというのは
本当に凄い事だと思います。

正面はこんな感じです。
この阿弥陀如来を表すキリークの所をアップで撮ったのがこちら。

見事な薬研彫りです。

キリークの下には梵字が彫ってありますが
どうやらこれは「光明真言」のようです。

ただ、台の上に剥がれ落ちた破片が落ちていました。
やはり雨風の影響かも知れません。
今後、これを残すと考えた場合は屋根をかけるか
ここから外して屋内展示ということになるかも知れませんね。
機会があったら今のうちに見ておいたほうが良いかと思ってしまいました。

今回は意外と近い(?)所にこのような日本一を誇る物があった事を
知らなかった自分に猛反省です。(親方ありがとうございます)
今はネットでいくらでも調べる事はできますが
やはりチャンスがある時には、自分の目で見ることの大切さを痛感しました。

それにしても雨が止んで良かった(^o^)