こんにちは。
木村石材の木村 希です。
前回、前々回に引き続きとなります。
今回は石が磁力を持つというお話しです。
前回、石の吸水という部分で排水に関して?がついたままでした。
この部分が今回のお話しにも少し絡んできます。
今回はちょっとマニアックというか難しい話になるかもしれません。
と思われるかもしれません。
実は、僕もつい最近までお恥ずかしながら知りませんでした。
まぁここでいう「磁力」というのも釘がくっついてしまうような磁力ではありません。
本当に微量なものなのですが・・・・
情報源はある石材産地の採掘加工メーカーの方からの情報です。
世間で俗に言われている「白御影石」と呼ばれる花崗岩ですが
鉱物学的にいうと2つに分けることが出来るらしいです。
【チタン鉄鋼系花崗岩】と【磁鉄鉱系花崗岩】の2つです。
はい。ごもっともです。
ではお話ししましょう。
ここからは自分でも色々と調べてみました。
花崗岩は長い年月(数千万年)で内部に含まれる鉱物が微量な磁力を持ち始めます。
これが前回の「石の年齢」にも関わってくることになります。
調べてみると我が国「日本」は、ほぼ【チタン鉄鋼系花崗岩】が多いようです。
こちらです。
国内有数の石の産地である福島県、茨城県、愛知県、香川県など。
逆に【磁鉄鉱系花崗岩】が多いエリアは岩手県沿岸、山陰地方、北九州地域となります。
この地域でピント来た方はかなりの日本通(?)でしょう。
実はこの【磁鉄鉱系花崗岩】のエリアは日本有数の「鉄」の生産地として有名な所でした。
山陰地方(特に出雲)は刀剣製作では有名ですし、北九州は八幡製鉄所がありました。
日本は鉄鉱石があまり取れないので、鉄を生成するには砂鉄を利用していました。
花崗岩の「長石」などが溶けて「石英」が残った物が「真砂土(まさど)」になります。
庭などでも使用される非常に水はけの良い土というか砂です。
ちなみにこの「長石」が1㎜溶けるのに120年〜260年かかるそうです。
この砂になったものを「たたら場」と呼ばれる炉によって精製して
鉄を作っていたわけです。
映画「もののけ姫」で出てくる「たたら場」のある場所のモデルは山陰地方だと言われています。
この地方で取れる砂鉄は不純物が少なく優れた鉄源ですが0.2〜2%しかとれないとの事です。
まぁ鉄の話はこの辺にしておきます。
実際にうちにある石材のサンプルで実験してみました。
この石が持つ磁力は微量ですので、磁力の強い「ネオジム磁石」というものを使います。
(100円ショップで購入できます)
小さいのでの解りやすいように磁石をピンクに塗ってみました。(それでも見にくい・・)
まずは国産材から
サンプル石の下に小さいピンクに塗った磁石が見えるように
石に付かずに下に落ちています。
では次に中国産を見てみましょう。
お解りになるでしょうか?
サンプル石に磁石が付いているのが!
次に他の外国産で試してみましょう。
こちらは国産同様に下に落ちています。
ちなみに花崗岩ではない「閃緑岩」や「斑糲岩」は石が生成される過程が違い
含まれる鉱物の成分が違うのでこのようになります。
ちなみに先程、【磁鉄鉱系花崗岩】エリアで紹介した岩手県産の石はこのようになります。
この「磁力」を持つことがお墓と何の関係があるのかということです。
そう!ここが本題です。(ここまでくるのに長い・・・)
常に屋外に置かれている「お墓」が磁力を持つと言うことは
排気ガス等、大気中に含まれている鉄粉などを引き寄せてしまう可能性があると言うことです。
当然、引き寄せれば場合によってはそれが「サビ」を発生させ
石の内部の鉄分にも移っていき変色、風化を促進させてしまう可能性があると言うことです。
特に、白い部分が多い花崗岩の場合はその「サビ」はハッキリ見えます。
どのくらいの期間でこの影響が出るかは、建てられている場所や
石個体によって違いがあると思いますし
物によっては、影響が出ない場合もあると思います。
ただ、お墓の一番大事な部分になる「石塔」には
永年使用という観点からも、このような要因は少しでも排除した方が
せっかくお墓を建てて頂く方にとっても良いのかなぁと感じています。
このような事を考慮しながら国産材等をお薦めしているということを
ご理解頂ければと思っています。
今回のこの「石が磁力を持つ」という話は
知らない石材業者がほとんどだと思います。
石を実際に採っている人でも知らない人は多いようです。
このように「石」に関してもっともっと勉強していき
常にアンテナを張り巡らせて
お墓を建てる方の不安要素を少しでも解消できるように
日々努力していこうと思っています。