こんにちは。
木村石材の木村 希です。
今回は、平安京の表鬼門の守神です。
実は、本年度の全国石材技能士会の総会が
滋賀県で開催となり、その講演会並びに翌日の研修で伺ったのが
日本の日枝、日吉、山王神社の総本宮である
「日吉大社」です。
講演会では日吉大社の禰宜 須原さんに講演していただきました。
そして実際に翌日、日吉大社に向かいます。
実はこの日吉大社と隣接しているのが
比叡山延暦寺でお互いに深い関係にあるとの事でした。
元々、滋賀県は日本でも有数の石造物の宝庫であります。
当然、今から2100年前に創祀された日吉大社の中にも
沢山の歴史的遺物がありました。
まずは石橋の大宮橋です。
それで何が凄いって香川の人とも話していたのですが
下の写真の赤丸部分です。
解りますか?
これ石製のくさびなんです。
見た感じですが幅5寸✖️厚み3寸ぐらいはあると思います。
要するに縦の丸柱にホゾ穴が貫通していて
間抜きが入って更に石製のくさびで押さえているという事です。
この丸柱を貫通させるだけでも・・さらに「くさび」とは!
そして走井橋
最後が二宮橋です。
特別に禰宜の須原さんが案内してくださったので橋の中まで入ったのですが
この橋の欄干ですが柱が4本ありますがその中部分は1本物で
滋賀の会員の方がスケールで測ったところ長さが18尺ありました。
高さも湾曲している部分で2尺以上ですから
作る時には厚み3尺からの削り出しになると思われます。
現代で作るとしてもかなり大掛かりな話になりますね。
これらの石橋は「日吉三橋」と言われ
国の重要文化財にも指定されています。
こちらは以前の台風で破壊されてしまった
石橋です。
補助金が出ずに修復ができないそうです。
お宮はほとんどが重要文化財指定されています。
そして不思議なのが
神社なのに境内地にある宝塔です。
結構立派なものです。
ではなぜ?神社に?という事ですが
この日吉大社は平安京遷都の折にちょうど都の表鬼門である北東に位置することから
都の守りとして魔除け、災難除けとして人々に崇拝されていました。
その後、伝教大師(最澄)が比叡山に延暦寺を開かれてからは
天台宗の護法神として多くの方から崇拝を受けてきました。
しかし、明治政府による神仏分離令により
神社の寺社ははっきり区別されるようになりますので
神社の境内にある仏教施設や石造物等は破壊されていきます。
そこでこの宝塔をなんとか守ろうとして考えた策が
この地だけ「延暦寺の飛地」であるという作戦でした。
その証拠にこの宝塔の前にありました。
はい!下の写真です。
さらにアップ!
すごい事考えますよね。
でもそのおかげでこの宝塔は残ったわけですからね。
こちらの手水社も石造りでした。
結構、屋根部分も切り込んであったりと手の込んだ作りでした。
そしてその神仏習合の最大の名残がこちらです。
なんか真ん中が三角形がついている不思議な鳥居です。
「山王鳥居」と言うそうです。
先程、天台宗の護法神というお話しましたが
この三角形が合掌🙏を表し、中央に護法神
そして左右が胎蔵界と金剛界を表しているそうです。
別名「合掌鳥居」とも言われるそうです。
ではこの後、延暦寺に向かいます。