• たかが石・・・されど石・・・

こんにちは。
木村石材の木村 希です。
先日、納骨のお手伝いをした時に
ちょっと気になったお話しです。

お施主さんを待っている時に
お参りされていた方から声をかけられました。

「こちらのお墓はなんで上と横で色が違うんですか?」

それがこちらです。
一応、周りはモザイクかけました。
建立年からすると約10年ちょっとです。
ぱっと見では解らないですかね?
ただ良く見て下さい。
側面と天場面の色の違いを!
なんかグレーになってませんか?

 

石は山から採った状態ではゴツゴツした状態で
当然、研磨もしてない状態ですので光沢もありません。

上の写真は香川県産の青木石の丁場での写真です。
そしてこちらは新潟県産の千草石です。

採石された状態ではこのように
様々な状態であります。

 

山から採ったこのような原石を切削して
石目をみて吟味します。
この段階で、キズや石目の揃わない物は外されていきます。

そこから圧力をかけながら順々に研磨していくと
光沢が出て綺麗になっていくわけですが・・。

 

昔は今ほど研磨技術も良くなかった為
例えば黒系の石等は綺麗な黒光りをさせるのが大変でした。

しかし中国から石材が輸入されるようになってから
ある問題が出てきました。
それは、中国でお墓を作る時に石を着色してしまうという問題でした。

今から約30年前ぐらいになるでしょうか?
中国材を扱う問屋さんから直しの依頼を受けていた事がありました。
当時の中国材は寸法ミスや加工ミスが多かったからです。
その時に直しをして研磨をするのですが
いくら磨いても他の面と色が合わないという事が度々ありました。

その問屋さんにいた中国人の社員に聞いた所
着色しているという話を聞いたのです。

日本の商社は非常に検品が厳しいので
研磨が甘かったり、色味が甘かったりすると
検品ではじかれてしまうので
それをかわす為(?)に着色をしているというのです。
特に黒系の石は酷い物でした。
尋常ではないくらいワックスもかけられていて
水がかかった時に水が玉状に転がるなんてザラでした。
字彫りのゴムシートも食い付きが悪くなると言う弊害も生みました。

 

先程のお墓の近づいた物がこちらです。

天場面と立ち上がりの側面との違いです。
変色というか研磨の劣化だと思うのですが。
どうしても天場面は上から雨を受け
太陽にさらされたりしますので
他の面よりどうしても研磨光沢が落ちるのは早いものなのですが
この年数から考えるとちょっとこれは・・。

 

こちらは別のお墓ですが同じ石種です。

こちらは研磨が落ちただけでは無く
サビが出て赤茶色の点々が見えると思います。
おそらく建立時にはもっと真っ黒だったと思います。

これは中国産の黒御影(はたして黒なのか・・)なのですが
この石は元々鉄分の含有量が多いのか
このようなケースはかなり見受けられます。
研磨が甘いだけでは無く、元々の石の色、石目も良くないものを
着色と光沢を出す薬品によって
いわゆるコーティングされていたわけです。
酸性雨の影響等もあってなのかわかりませんが
面によっては別の石のようになってしまっています。

インドやスウェーデンや南アフリカの黒い石でも
当然、長い年月で研磨が落ちて
色味が薄くなる事はあります。
当然、国産材でもあります。
しかし、その場合は全体的に色味が薄くなるという感じです。
ここまで石の色が変わる(?)ことは無いと思います。
こうなると経年劣化による変色ではなく
お化粧された姿から、スッピンに戻っただけなので
経年劣化とは言えないと思うのです。

今はそのような事が解ってきているので
商社も中国の工場に着色をするな!等と指示もしているようですが
正直の所、影で行っている可能性はあると思います。

白系の石では着色する意味が無いですが
色物系の石は少なからずあり得る事だと思います。

我々も輸入材に関しては仕入れ先の問屋さんや商社を
信じるしかない部分もあるのですが
そこまで品質管理をしてくれる問屋や商社は
その要求を受けられる中国の工場を使うので
当然、仕入の金額も高くなるはずなんです。

しかし商社としても常駐しているわけではないので
それでも見抜けない部分はあると思います。

たまにネットやチラシでかなり格安な金額をみますが
安いものには必ず裏があるはずなんです。
「安かろう悪かろう」ではありませんが。
検品から外れた物を着色等して誤魔化したりして売ったりと。
まぁ中には粗悪品を高く売っている業者もいますが・・・


 

大事なお墓がこのようになっていたらどうでしょうか?

石は天然素材ですから石ごとに性質も石目も違います。
その石それぞれに合った加工方法等が必要な場合もあります。
今は世界中から新しい石種がドンドンでてきますが
僕は怪しいと感じた時は、
サンプル板の石を自分で磨いてみる事にしています。
また、組合の仲間などからそのような情報を収集もしています。

基本的には自分で使用実績があって
経年変化が解っている石をお薦めするようにしているのは
このような事態を避ける為でもあります。

このような事を考えると
やはり作っている人の

「顔の見える」

国産材安全、安心だと思っています。