• たかが石・・・されど石・・・

こんにちは。
木村石材の木村 希です。
3日続けて戒名の追加彫りを行いました。
今日の事ですが・・・
一昨日、昨日は市内の現場でしたが
場所が結構離れていて、階段を登って
機材を運ばなければならなかったので2日に分けました。

初日は同じ墓地内でしたが上の段と下の段でしたので
昼過ぎまでかかってしまいましたがなんとかOK。

翌日は階段上がってとなりますので
なんだかんだと30段8往復以上しましたかね。
エアホースもドラム3個プラス予備でギリギリ届きましたから
100m以上あったのかな?
いい汗かきました。

正面文字内の汚れが気になっていて
納骨までに綺麗にして欲しいとのお話だったので
字彫り後に文字内を洗浄します。
汚れは赤っぽい汚れの
いわゆる「赤カビ」ってやつです。
字彫りの為にコンプレッサー持ってきてますので
文字内に薬品かけて軽く擦ってから
水を高圧で吹き付けて洗浄します。

見事に綺麗になりました。

そして本日ですが、チョット離れて東京都になります。
新小金井街道から都営多摩霊園前の
東八道路を都心方向に行き三鷹市に行きました。
今から約10年前に施工させて頂いたのですが
ご夫婦がこの9月に2人とも亡くなってしまい
この度、一緒に納骨ということになり
2霊の追加彫りに向かいます。

当時、奥様が非常にこだわっておられて
外国の石はイヤとの希望でしたので
外柵は福島県産 はなつかみかげで
石塔、墓誌は宮城県産 磐梯御影という
「みちのく銘石」の一番好きな組み合わせのお墓でした。
無事に字彫りも終わりお墓を見ると
正面文字の中にこちらも赤カビが出ていました。
こちらです。特に右のはらい部分です。

道具も昨日のままでしたので、せっかくですから
文字内も洗浄することにしました。
まずは裏面建主から。
薬剤を吹き付けて軽く擦ってから高圧洗浄します。

無事にこちらも綺麗になりました。
字彫り作業は雨天はできませんので
これでホッとしました。
あとは納骨当日の天気だけですね。

さて作業が終わって帰ろうとすると
途中のお墓でお参りされている初老の女性がいましたので
「どうもお邪魔しました」
と声をかけると
何やら涙ぐんでいます。 んん?
「どうかしましたか?」
と聞くと、なんでもご実家のお墓らしいのですが
跡取りが全くお墓参りに来ていなくて、ご両親に申し訳なくてということでした。

確かに片付けている時にどこからか
「ごめんね。ごめんね」という声が聞こえてはいたのですが・・・

「お墓参りに来てくれているんだから仏様は喜んでいますよ!」
と言うと
「ありがとうね。声をかけてくれた上に励ましてくれて」と
言いながらさらに涙ぐんでいます。

最近、涙腺弱くなったせいかその様子を見ていて
自分も涙目になっていました。

「お墓は亡き人に会いに来る場所だから
いっぱいお話ししてあげてくださいね!」
すると
「ホントにありがとうね」と言っていただけました。

お墓に関わる仕事をしている自分としては
どんなに立派で高価な石で造っても
お参りに来ない、いわゆる「ホットケ(仏)」になっているお墓より
どんな形であれ、お参りしてくれるお墓の方が何倍も素晴らしいと思います。
そりゃ石屋の立場からすれば少しでも良質の石を(特に国産)を
使っていただければ一番なんですが。
ただそれ以上に、亡き人を想う気持ちのこもったお墓が一番なんだと思います。
だから、新しくお墓を作る方はテレビや冷蔵庫を買うのではないですから
じっくり悩んでください。
わからない事は石屋に聞いてください。
そのお手伝いは出来ると思います。普通の石屋なら・・・

最近、よく想うんですが観光地で戦国時代や江戸時代の武将のお墓とか
神社にお参りしている人って、ちゃんと自分の家のお墓にお参りに行っているのかと?
そりゃ歴史上、素晴らしい活躍をした偉人に手を合わせるのは結構ですが
会った事もない人にそれが出来るのに、
自分の血縁の先祖にはお参りしないってどうなんですかね?