こんにちは。
木村石材の木村 希です。
桜の開花予報のニュースも流れ始め
春のお彼岸が近づいて来ました。
年明けからかかっていた墓所補修工事が完了して
引き渡しを行いました。
とても大きな墓地で、間口12尺×奥行き22尺あり
昔ながらの根石(腰石)、ならし、小柱をパイプで繋ぐといったお墓です。
本体のお墓も昭和初期に建てられた
立派な福島県産浮金石の1.2尺角が建っています。
今回はこの墓所を引き継ぐ為に
古いお墓を左側にまとめて、将来的に空けたスペースに
お墓を建てられるようにしたいということと、
入口階段周りを修復したいとのご要望でした。
前回りの大谷石はこのような状態です。
中央の階段3段は白河石なので再利用します。
まずは、本体以外の既存石塔を13基を解体します。
竿石は再施工しますので高圧洗浄機と薬品を使って洗浄します。
このあと彫られている文字を拾い出して墓誌に刻みます。
前回りを解体して基礎を打設します。
D-13鉄筋にて配筋して生コンを打設します。
新たに入口周りは大谷石ではなく
既存外柵の柱などにも使っている白河石を加工します。
中国産石材を使った方が金額的には抑えることができるかもしれませんが
既存の白河石の外柵にピカピカの花崗岩で直してしまっては
おかしな墓所になってしまいます。
そこで今回は白河石を使用します。
白河石や大谷石は基本的に「延べ材」と呼ばれる
幅決めの規格で出荷され、長さは約3尺〜3.1尺となっています。
詳しくはこちらから
ということで手加工で作っていきます。
合計14本を手加工で仕上げました。
体には堪える仕事ですが、これが「石屋」だと言い聞かせて(笑)
ひたすら加工しました。
この後、現場に施工となります。
白河石の場合は、コーキングは使えませんので
目地部分は「つぎとろ」と呼ばれるセメントをきつくして
トロトロにしたモルタルを流し込みます。
この時も、白河石や大谷石の施工の場合は
石が乾いていると、あっという間に水分を吸ってしまい
奥まで入らないので、必ず水を打ってから作業します。
硬化後に目地を施工します。
今の若い世代の石屋さんはコーキングでの施工がほとんどなので
意外とこのような基本を知らない人が多いみたいですけど・・。
先日も、ある寺院墓地で大谷石の合口にセラミックボンド点けてる
石屋さんいましたが・・・あれって石屋さんなのだろうか??
竿石を施工する場所にコンクリートを打設して
周囲のパイプを再塗装して
既存竿石、墓誌を施工します。
コンクリートにも水抜きを付けてありますので
水が溜まる心配はありません。
最後に化粧砂利を敷いて完成です。
本体石塔の右側に後々お墓を建てるスペースも
確保できました。
完成引き渡し後にアンケートフォームから「お客様の声」を頂きましたのでご紹介します。
匿名 50代
○ご依頼頂く前にどんなことに悩まれましたか?
Ans:江戸時代から続く墓地の墓寄せについて、どうしたらいいのか、その際の供養方法などがわからずにいました。
○ご用命頂く事を決めたきっかけ、決め手はなんでしょうか?
Ans:こちらの悩みに対して、丁寧に納得がいくまで説明いただいたこと。
それと何よりも墓石に対する熱い造詣と情熱ですね。また社長の人柄につきます。
○当日までの対応等はいかがでしたか?
Ans:予定期限通りに作業を完了していただきました。
作業状況については数多くの写真を撮っていただき、CDで納品してもらいました。
引き渡し時には各作業箇所の説明をしていただき、納得できました。
改修工事をお願いして本当に良かったです。
この度はご用命頂きまして本当にありがとうございました。
お墓というのは、その家の歴史だと思っています。
新しいものに交換するのは簡単です。
ただそれでいいのか?と思ってしまう時があります。
それよりもいかに、今までその家の歴史を物語ってきたものを
良い形で残す事ができるか!
そのお手伝いをするのも、石屋の仕事だと思っています。