• たかが石・・・されど石・・・

こんにちは。
木村石材の木村 希です。

梅雨に入って雨が続きますね。
今日はこの「雨」に関してということで。
石がを吸うというお話しです。

「良いお墓の条件」等で検索すると出てくる言葉で
吸水率」という言葉があります。

これは試験体である石を24時間乾燥状態の後に
質量(重さ)を計って、その後に一定時間(48時間)につけて
質量(重さ)を計りその浸水率からどれだけを吸ったかを計るものです。

 

「ええっ〜?石って吸うの?あんなに硬いのに?」

 

って思われる方もいると思います。

石は元々の鉱物の塊ですので、鉱物同士の繋がりの間に目に見えないような隙間が存在します。
鉄鉱石の様な単一鉱物であればほぼ隙間はないようですが
お墓に使う火成岩と呼ばれる【花崗岩】【安山岩】【斑糲岩】【閃緑岩】は
「石英」や「雲母」「長石」等の鉱物から出来ていますので、
少なからずともこの鉱物の結びつきの部分で、ミクロの隙間が存在します。

まぁ石がを吸う量は全体から考えればかなりの微量なのですが
お墓のように永年使用で屋外に置かれている物には
この浸水(吸水)が少なからず様々な影響を及ぼすわけです。

 

解りやすい例でこちらをご覧下さい。

 

これは以前、納骨のお手伝いをする為に
待っている間に撮影した物です。
前2日間は一切雨が降ってない状態です。

まずはどちらかというと吸水率高いといわれる中国産石材です。

福建省産AG98
福建省産G614

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

影になってしまっているのでちょっと見にくいのですが
文字の周りや上台(竿石の下の台石)の中央部がが染みこんで黒っぽくなっています。
この黒っぽく見えるのはが入り込むことによって光の屈折率が変わっている為です。

 

そしてこちらが比較的に吸水低いといわれている石種です。

宮城県産 磐梯御影

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

福島県産 芝山石

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポルトガル産SPI

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いかがでしょうか?
このように同じ条件下にあっても、見た目だけでもこれだけの違いがあります。

研修や講演を聞いたり、自分で石を磨いたりして感じた結果としては
吸水が高いとされる石種は鉱物同士の隙間が大きいので
奥まで水分が浸入し易いということです。

隙間が多いということは比重にも影響しますので
微妙ではありますが若干軽くなるわけです。

当然、内部まで入り込んだ水分は、四季のある我が国【日本】の冬場では凍結します。
これを何十年というスパンで繰り返せば
表面に近い部分はどうしてもこの鉱物の結びつきが壊されるわけですので
風化などの影響が出てきます。

さらにお墓は屋外に置かれているわけですから
この吸い上げる純水では無く、土ぼこり等の汚れを含んだなわけです。
この汚れた水分だけ乾燥すれば、汚れの色素は石の内部に残りますよね?

このような繰り返しが石を風化変色させる一因ではないかと。

よって吸水率が低い方が「良い石」というのは、
あながち間違ってはいないのではと思います。

ただ、ある産地の方に聞いた話ですが
吸水率というデータはあるけどそれよりも大事なのは排出率なんじゃないか?」というお話し。
確かに吸水が高くても排出が良ければ問題無いわけです。

ただこの「排出率」っていうデータはないのです。
あくまでもこの吸水率は石を選ぶ時の一つの目安として考えて頂ければ良いのかな?と思います。

石は天然素材ですから全ての石が試験体と同じデータと同じかというと
そこは違うと思いますので、平均的な物としてとらえた方が良いと思います。

次回はこの排出に関して僕が思う事をお話ししようと思っています。